宝冠釈迦如来 2
 2010年9月19日更新

膠木屎を取り省いた顔。
目、眉が上下にずれている。
顔は成形の必要がある。


接着はエポキシ樹脂。
後頭部の剥ぎ面は膠で接着。


虫害部分は木粉を練りこんだエポキシ樹脂で補修。



濃い茶色の部分は木粉を混ぜたエポキシ樹脂。


アゴ
虫害の部分は膠と木粉の木屎で厚く形成されていた。

削ってます。

虫害はエポキシ樹脂で補修。
ゾンビではありません。



筋彫りをすると曲面が見やすい。


割り剥ぎであったが歪みがあったので桧を挿んで修正。
内部の虫害をエポキシ樹脂で補修。 
その後剥ぎ部分に補強材を添えた。




後部との接着は膠。
クランプがズレ落ちない程度の圧力で止める


私の使用する板膠と鹿膠
板膠は胡粉下地にも使用します。
鹿膠は彩色の時に使用。
ポットミルで細かくした胡粉をこの板膠で墨を作る方法で煉る、胡粉内部の空気をなくすことで硬い下地を作る。煉った胡粉は膠を溶かした水で緩めて使用する。



胡粉と煤を膠で煉る


顔の成形終了
生漆で木地補強



膠を接着剤とした木屎で固めてあった耳。



紗を切り分けて貼っています。

後頭部。羅髪部分は造仏当初の部分
白い桧部分は後の修理の補足。


この黒漆は(半消黒箔下漆)
摺ってます。

頭部後部
圧着時のズレ止めの臍穴4つ



砥炭で摺ります。
長い炭はデッサン用の木炭です。
手がかゆいです。「かいかい」

手の甲はかき傷だらけ。


生漆で補強この後、錆漆の下地、
そして胡粉下地、
                 漆を飲む
8月の中頃ようやく作業も終盤、気持ちに余裕が出来た頃、さかりの国産伊勢漆を手に入れましたのでその伊勢早を飲んでみました。
漆に対する免疫力が弱いので師に相談したところ「飲め」と言われました。
カプセルに漆を積めて飲みましたが、少々、量が多すぎたようです。
全身ピンク色に染まり体全体が熱くなりました。
以前のように朝晩、気が狂うようなかゆみはなく、また蚊に刺されたような痒みでもなく、あちこちイラつくような痒み?特に膝から下全体がじんわりと痒いのです。
当然、夜中は眠れませんでした。
結果、免疫力は少々アップしたようですが20日間以上、痒みで 苦しみました。
9月13日まだあちこち痒いです。
対処方法はエアーサロンパスとキンカンでした。




彩色中です。
!?!?

最終、青くなります。


髪は赤色をベースに緑と黄色を配し最終、青色をのせる。

修理前


漆下地に錆漆、そして紗を貼った状態

材表面、補強の生漆。


修理報告諸が入った箱。
この後、錆漆で補強。



大きすぎる隙間、硬い桧を隙間に貼り付けます。


首穴の隙間
この直後空き寸法を記入する紙を張ります。


紙に合印と空き寸法を記入。
内部より撮影

首を差し込みました。
隙間はありません。
差込部分は接着剤の使用はせずに仕上げます。

修理前、下地を取り省いた状態

左腰の部分


左肩
ケヤキ古材の楔。


右腰
釘穴、楔穴は全て木製楔、(千切り)にした。

胸とお腹は ポッチャリしてる。
生漆で補強。
漆色にすると表面の凹凸が分かりやすい。



錆漆が乾くと紗(糊が付いている)を水で貼る。
乾いてから生漆で接着。

錆漆を塗っては刀で削る事を数回くり返す。


空気の層はなく密着している。
ここで妥協は、ない。

昔、オートクチュールのための立体裁断の経験が役に立ちました。


錆漆を塗った表面を整える外反りの刀。
意外と役に立った昭和中期頃の安物の和鋏。
(外反りに加工)


紗を漆で接着。
new


自作砥石
陶土で作った下地用砥石。
磁器粘土や半磁器粘土をオガクズと混ぜて焼成。
300番〜400番ぐらいでしょうか?

new

写真A



生漆で木地を補強し紗を漆で接着、胡粉下地を摺り付けた、余分な下地胡粉を摺り落とした後、錆漆を塗りそして下地漆、そして中塗りを行い現在中塗りの砥ぎをしてます。これまでの工程は、念には念をいれ、かなり多くの漆を使いましたが、その塗りと砥ぎの回数は、忘れました。「すみません」

胡粉下地の使用量を少なくして主に錆漆で形を作りましたが大変な時間が掛かってしまいました。この如来の元制作者には喜んでもらえるとおもいますが・・・?写真A


ビニールで囲った部屋は仮設の漆室です。
バケツとシーツ、床に木紛(オガクズ)を敷き詰め水を撒きました。湿度調整は時間がかかります。

冬、暖房にはパネルヒーター2台使用しましたが18度が限界でした。補助暖房機具ホットプレートに鍋を3重にして使う時もありました。


1回目の箔押し。
この後、顔、胸、手は金泥(肌粉)にします。
衣は2度押し。(2重押し)
黒漆は半消し箔下漆(つや消し)

修理前  右腕
手をはめ込むには補修が必要。


腕を固定する臍

修理前   左腕

手を約3センチ上げる。
踵の復元と袖衣の復元をする。

後の修理時手の下に隙間をなくすため重なっていた指を突合せ
にしたうえに、なおかつ踵が削り取られている。




膠で接着
後、漆木屎、錆漆で整える
後、塗箔。
もっとも厄介な作業です。



修理の際、作り変えがあった手首部分と手。
手の指と手首に付く腕の部分は新しく作り変える。
造仏当初は手のひらが重なる定印であったことは確かで、
造仏時は釈迦如来であったことがわかる。



虫食い部分はエポキシ樹脂で補修。


紗を貼ってる中。
道具類
1ページへ戻る
奈良仏像彫刻舎 TOP